8月28日現在、TATERU(タテル)の株価は終値163円を記録しています。
波が若干あるものの、少しずつ下落しているような状態です。
この下落はいつまで続いてしまうのでしょうか?
今回はTATERU(タテル)の株価推移が今後どうなっていくのか予測するために、日本の住宅市場の現状やTATERU(タテル)の経営再建に向けた動き、今後注目すべき「株価が動く可能性の高いポイント」などをご紹介していきましょう。
TATERU(タテル)の株に注目したいが、どういった点に注目した方が良いのか分からないという方や、どのタイミングで上昇するのか知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
Contents
米中間の貿易摩擦が深刻化。住宅市場にも悪影響が次々と…
現在、アメリカと中国との間に貿易摩擦が生じています。
貿易摩擦は両国間だけの問題ではなく、日本にも影響を及ぼしている状況です。
具体的に米中貿易摩擦はどのような影響を及ぼしているのでしょうか?
住宅市場に注目して解説しましょう。
鉄鋼製品から始まった貿易摩擦
いろいろな考察があると思いますが、米中間で貿易摩擦が生じ始めたのは2018年3月のことです。
参考:1からわかる!「米中貿易摩擦」【前編】そもそもの経緯は?
当時、中国企業では大量に製品を作って世界に輸出していました。
日本でも中国製品は国産の製品に比べると、安いと感じるものは多いです。
この安さについてトランプ大統領は問題だと認識し、中国から輸入される鉄鋼製品に対して関税をかけたのです。
この動きに対して中国は反発しますが、トランプ大統領はさらに様々な製品に対して関税をかけ、1000品目以上にも及ぶ製品に関税をかけることを示唆するなど事態は深刻化します。
これに対し中国は、アメリカから輸入していた約800品目に同等の関税を掛けます。
2018年12月にアルゼンチンで開催されたG20で直接対話がなされ、一時的に報復合戦は休戦することとなったのですが、その後トランプ大統領が閣僚交渉中に2000億ドル相当にもなる関税の引き上げを決定してしまいました。
すると中国側も黙っておらず、同じように関税の引き上げを実施します。
この頃には既にアメリカは中国から輸入している製品のほとんどが関税の対象になっていました。
現在は、2019年6月に開催されたG20大阪サミットにおいて、再びトランプ大統領と習国家主席で直接対談が行われ、現在は冷戦状態で交渉が続いています。
日本の住宅市場にどのような影響をもたらすのか?
米中貿易摩擦の現状について解説してきましたが、一見日本は関係ないように思えます。
しかし、実は日本の住宅市場にも影響をもたらしてしまうのです。
どういった影響をもたらしてしまうのか、ご紹介していきましょう。
現在日本の住宅市場は、都心や一部地域のマンション・ビル価格が大きく上昇しています。
まさにバブル期を彷彿とさせるような高騰を見せているため、いつかバブルが崩壊してしまうのではないかと不安視する声も挙がっている程です。
バブル期のような高騰を見せる地域がある一方で、それ以外の地域ではなかなか値段が付かないような不動産が増えていると言われています。
日本の土地は地域によって極端な価格の差を広げつつあるのです。
ここで問題となるのが、バブル期のような高騰を見せている不動産です。
バブルには必ず終わりがあります。
いつ崩壊するかは分からないものの、シャボン玉が絶対に割れず上へ上へと上っていくことはありません。
だからこそバブルなのですが、この米中貿易摩擦がバブルの崩壊に影響するのではないかと考えられます。
米中貿易摩擦が現状よりも激化してしまえば、世界経済の失速につながってしまうでしょう。
いくら日本の不動産が局地的にバブル期を迎えていたとしても、世界経済の失速を受けて崩壊してしまう可能性は高いです。
現在はまだ新築マンションは値上がりすると言われていますが、中古マンションは徐々に取引価格が下がり始めており、郊外では既に数ヶ月成約が取れない物件も多く見られます。
今後安くても売るといった動きを見せれば、中古マンション市場はより一層価格が崩れてしまうことでしょう。
米中貿易摩擦の影響を少しでも軽減する「付加価値の高い不動産」
多くの不動産会社が将来の住宅市場を懸念していますが、それに伴いバブル期が崩壊したとしても価格の急落を防ぐために、様々な対策に取り組んでいます。TATERU(タテル)は一般的な不動産会社とは違い、在庫リスクを持たないことからどちらかと言うとIT会社に近い位置付けで、IoT技術を活用した不動産テックを進めています。
8月にリリースされた情報によれば、テクノロジーを組み合わせた新しい不動産企画開発事業を開始したのです。
参考:テクノロジーを活用した不動産企画開発事業スタート! プロジェクト第一号、東京都渋谷区恵比寿にて始動
従来からIoTと不動産を組み合わせた事業を得意としていたことから、不動産企画開発事業でもテクノロジーを活かして、最新テクノロジーを用いた物件の開発に関するコンサルティングやプロジェクトの管理を担おうと考えているようです。
既にプロジェクトは始動しており、第一号のプロジェクトとなる物件は東京都渋谷区恵比寿になるようです。
恵比寿と言えば若者を中心に人気のエリアであり、物件価格も値上がりしています。
TATERU(タテル)はそんな恵比寿にある中古アパートで、子会社のRobot Homeが開発したIoTを取り込んで提供する形を取っています。
バリューアップした物件は利便性の向上や安全性の確保だけでなく、物件の価値自体も向上させているのです。
また、物件には「kit HOME ENTRANCE」と呼ばれるカメラ付きインターフォンも設置されているのですが、kit HOME ENTRANCEはスマートフォンと連動して外出先からも受話応答ができるだけでなく、訪問者の履歴が残るので長期的に不在であっても後から誰が来たのか確認できます。
しかも、エントランスに設置された宅配ボックスを活用することで、不在時でも宅配業者とスマートフォンから訪問対応に応じることでより安全に受け取れます。
様々なシーンで対応しやすいため、再配達問題の解消にも貢献してくれることでしょう。
TATERU(タテル)はこうした「付加価値の高い不動産」を提供しようと考えているのです。
TATERU(タテル)の株価が下落中。早期退職優遇制度などの経営再建は進むか…
TATERU(タテル)はIoTや最先端テクノロジーを活用した不動産テック企業ですが、なぜIoTアパートメントに強いのでしょうか?
ここからはTATERU(タテル)の経歴や当時の株価を振り返りつつ、IoTアパートに強い理由と経営再建が可能なのかまとめていきましょう。
TATERU(タテル)の経歴と株価
TATERU(タテル)のこれまでの流れと当時の株価をチェックしてみましょう。
創業期
TATERU(タテル)の前身となる会社・インベスターズ(のちにインベスターズクラウド)が創業したのは、2006年のことです。
現在は本社が東京にありますが、当時は福岡県福岡市で不動産事業を展開していました。
創業後すぐにネット集客でのデザインアパート事業を行い、経営は順調に行われました。
事業拡大期
2009年になると東京本部を開設、2011年には大阪支店を開設するなど、徐々に全国区へと規模を拡大させていきました。
デザインアパート事業を拡大させていく中で、様々なサービスも提供しています。
例えば、不動産投資アプリの配信や、アパートオーナーを目指している人向けのオンライン動画学習サイトの開設、アパート経営に関する情報を提供するWEBマガジンの配信など、インターネットを活用した不動産情報サービスも手掛けていったのです。
また、2015年には創業からわずか10年未満という短期間で東京証券取引所マザーズ市場に株式上場しています。
当時のIPOでは公募価格は1,870円だったのに対し、初値は公募価格と比べて+約93%となる3,615円にまで上昇しました。
参考:TATERU (1435) : 新規上場(IPO)情報 – みんなの株式
さらにマザーズへ上場を果たした1年後には、東京証券取引市場第一部への市場変更が行われています。
データ改ざん、不祥事の発覚
その後、株価は順調に上昇し、2018年6~8月頃には2,000円を超える高値を付けていました。事業も順調に拡大していた矢先、不祥事が発覚してしまいます。
それが、建設資金借り入れ希望者の預金残高をデータ改ざんし、水増しさせて銀行から融資を引き出そうとしたという問題です。
当時、アパート建設を計画していた男性は銀行から融資を受けたいことをTATERU(タテル)の従業員に相談していました。
男性の預金残高は23万円しかなかったのですが、それでも銀行からの融資を受けることができたのです。
そこに疑問を持った男性は直接銀行に問い合わせ、提出された資料を確認すると623万円に水増しされていました。
水増しが発覚してから男性は契約を解除したため融資は行われずに済みましたが、その後男性へTATERU(タテル)は謝罪し、契約に基づく手付金よりも2倍の額の100万円が支払われました。
この事態を受け、TATERU(タテル)では改ざんがあった事実を認めており、同様に改ざんが行われていなかったか社内調査を進め、第三者による特別調査委員会も設置しています。
改ざん問題が報道された8月31日の株価は終値1,606円だったものが、9月13日には327円の安値を付けています。
株価急落から営業自粛へ
株価急落後はTATERU(タテル)側の迅速な対応や再発防止策を打ち出すなどの動きが見られたため、徐々に株価は上昇し、9月26日には854円の高値を付けました。
9月以降からTATERU(タテル)のCM広告は自粛しており、新規営業もストップしています。
新規顧客が増えないこともあって、投資家達の中では新規営業が自粛したままだと経営状態が悪化する可能性があると考え、株価も下落していきました。
10月30日時点で安値422円を付けています。
行政処分
2019年6月、国交省はTATERU(タテル)に対して行政処分に踏み切ることを明らかにしました。
初めてこの報道が出たのは6月17日のことでした。
報道を受けて売りが相次ぎ、17日の終値は231円だったものが18日には始値194円まで下落し、188円で取引を終了しています。
ただ、6月末に発表された行政処分の内容が、7日間の宅地建物取引業にかかる業務の停止だったため、想像していたよりも軽い処分で済み、株価は上昇し7月2日には高値231円を記録しました。
第2四半期業績発表
8月8日、2019年12月期第2四半期の業績が発表されました。
参考:2019年12月期 第2四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
参考:減損損失の計上及び 2019 年 12 月期通期連結業績予想に関するお知らせ
通期業績予想では連結最終損益が約105億円の赤字に転落する見通しであることが明らかになりました。
今期は大幅赤字となりましたが、あく抜け感につながったこともあり翌日9日の株価は高値198円まで上昇しています。
TATERU(タテル)はなぜIoTアパートに強いのか?
TATERU(タテル)がIoTアパートに強い理由は、そもそも創業当時からインターネットを使った集客を実施していた点にあります。
2006年というとインターネット活用が盛んになり、ネット普及率も大きく向上した時期です。
一方で、不動産業界はあまりインターネットに注目しておらず、従来の方法で販売が行われていました。
そんな中で先見の明を持っていた社長が、インターネットでの不動産販売で実績を挙げていったのです。
IoTはインターネットとモノをつなげるシステムを言います。
創業当時からインターネットと強いつながりを見せていたTATERU(タテル)にとって、IoTアパートに強くなるのは必然的だと言えるでしょう。
今後TATERU(タテル)の経営再建は進むのか?
上記の株価を見ていくと徐々に下落していく様子が見られますが、経営再建は進むのでしょうか?
最近、TATERU(タテル)では早期退職優遇制度が実施されました。
収益性の改善を図るために実施された早期退職優遇制度ですが、8月8日に発表されたIRニュースにて、136名から早期退職の応募があったことが分かったのです。
特別損失が出てしまうものの、今後136名分の人件費が毎月削減されることを考えると、経営再建に向けて業績は改善されるのではないかと予測できます。
また、前項でもご紹介したように、TATERU(タテル)では強みのIoTを活かして不動産企画開発事業をスタートさせているので、黒字転換するまで時間は掛からないのではないでしょうか?
今後は元従業員の動きや、決算などに注目してくことが重要
今後TATERU(タテル)で注目すべきポイントですが、早期退職優遇制度が実行されるタイミングや第3四半期決算、アパートメント事業の新規営業再開リリースなどに注目していく必要があります。
また、近年はSNSを使って元々勤めていた会社の噂が流されてしまうというケースが増えてきています。
TATERU(タテル)でも元従業員がSNSを使ってありもしないような悪い噂を流してしまう可能性はゼロではありません。
事実無根の内容や、秘密保持契約に触れる内容の場合は従業員側に対して賠償請求が行われる可能性もありますから、情報の信憑性については正しく判断する必要があるでしょう。
元従業員の動きにも注目しつつ、株価に動きがありそうなポイントも逃さずチェックしておきましょう。
株価が上がるタイミングはいつか?
株価が上がるタイミングはいつになるのかというと、突発的に好材料となるIRニュースが出た時です。
また、他にも以下3点には必ず注目しておくべきです。
・早期退職優遇制度が実行される日?(10月31日)
・第3四半期決算(11月ごろ?)
・アパートメント事業の新規営業再開リリース?
早期退職優遇制度が実行された場合、特別損失は計上されるもののあくまでも一時的な損失であり、長い目で見ると136名分の人件費が毎月削減されることになります。
TATERU(タテル)の平均年間給与は平成30年12月31日現在で約720万円です。
参考:有価証券報告書-第13期(平成30年1月1日-平成30年12月31日)
つまり、720万円×136名=年間9億7920万円の人件費が削減できることになります。
もちろん、あくまでも平均年間給与なので実際の人件費は税金なども含めるともう少し大きいと考えられますが、1年間で10億近い経費が削減できるのは経営面的にも大きな影響をもたらすと言えるでしょう。
第3四半期決算についてですが、第2四半期決算で既に大幅赤字になる見通しを立てており、もし第3四半期で少しでも収益がアップし見通しの修正が入れば好材料となって株価アップにつながる可能性があります。
また、第3四半期決算の発表後に新たなIRニュースが発表されるかもしれません。
第2四半期決算では発表後に不動産企画開発事業をスタートさせたことを発表していました。
第3四半期決算後も同様に、新たな情報を公開する可能性はあるので、見逃せません。
時期は未定ですが、今後アパートメント事業の新規営業を再開することも考えられます。
新規営業を開始すればその分収益を取り戻すことができるので、投資家たちも安心して株式を買い戻せるでしょう。
現在の株価から適正な数字にまで回復する
8月28日現在の終値は163円ですが、実はこの株価は適切な数字ではないと言えます。
根拠として言えるのが、安全性分析とTATERU(タテル)が行っている新規事業の成長性です。
安全性分析
安全性分析では借金を返済する能力はあるか、企業に経営するだけの体力はあるのかを見ていくものです。
安全性を分析する時は流動比率や固定比率、自己資本比率などを算出していきます。
参考:四半期報告書-第14期第2四半期(平成31年4月1日-令和1年6月30日)
流動比率
流動比率=流動資産19,178,704(千円)÷流動負債8,369,414(千円)×100=約229%
流動比率は短期的な支払い能力を示しています。
流動比率は基本的に200%以上なら資金繰りも問題ありません。
固定比率
固定比率=固定資産4,221,956(千円)÷自己資本13,806,056(千円)×100=約31%
※自己資本…株主資本+その他の包括利益累計額で計算
固定比率は自己資本に対する固定資産の割合です。
流動比率が短期的な支払い能力を示しているのに対し、固定比率は長期的な支払い能力を分析するために活用されます。
100%を下回れば下回る程、経営は安全水準であることを示しています。
自己資本比率
自己資本比率=自己資本13,806,056(千円)÷総資本23,400,660(千円)×100=約59%
自己資本比率は総資本内における自己資本の割合を示したものです。
自己資本の割合が多ければ倒産リスクも低いと言われています。
一般的には40%以上が目安となっており、TATERU(タテル)の自己資本比率は59%と目安より高い数字を示していることが分かりました。
新規事業の成長性
TATERU(タテル)は元々アパートメント事業をメインに取り組んできた企業ではありますが、それだけを行ってきたわけではありません。
例えばIoT事業やスマートホテル事業、最近では不動産企画開発事業もスタートさせています。
中でもスマートホテル事業は利益拡大につながるのではないかと予想される事業の1つです。
近年、日本には外国人観光客が増加傾向にあります。
2020年には東京オリンピックも開催されるため、より一層観光業は賑わいを見せることでしょう。
外国人観光客が増えればその分インバウンド需要も増えていきますが、宿泊事業は個人だけで経営するとなると施設運用に手間取ったり、利用者のマナーが悪いと近隣から苦情が来てしまったりすることもあるので非常に大変です。
そこでTATERU(タテル)はこれから宿泊事業を経営したい人向けに土地をマッチング、稼働率の高いスマートホテルの建築を行い、管理運用全般をサポートするスマートホテル事業を行っているのです。
既に福岡や京都などでTATERU(タテル)のスマートホテルが広がってきています。
このように、将来性のある事業を展開しつつ安全性分析では倒産リスクはほとんどないと考えられることが数字として表れています。
そのため、現在の株価は適正ではなく、好材料が入れば株価も適正な数字まで上昇していくことでしょう。