TATERU(タテル)は、顧客の預金残高データを改ざんしたことが原因で、業務停止処分が下されました。
業務停止による影響は、オーナーやTATERU(タテル)の経営にとって良くないものではないかと考える人も少なくありません。
しかし、実際はどの程度の影響を与えるのか知らない方が多いでしょう。
そこで今回は、TATERU(タテル)の業務停止でオーナーにどのような影響が及ぶのか、業務停止後の経営はどうなっていくのか、TATERU(タテル)の将来性はあるのかご紹介していきます。
TATERU(タテル)の今後が気になる方は、ぜひ参考にしてみてください。
Contents
TATERU(タテル)の業務停止がオーナーに与える影響
TATERU(タテル)は、国土交通省から業務停止を命令されました。
今回の処分はTATERU(タテル)のアパートメントを保有するオーナーにとって大きな不安材料と言えます。
実際、業務停止はオーナーにどのような影響を与えるのでしょうか?
業務停止までの流れ
まずはなぜ業務停止処分を受けることになったのか、原因となった改ざん問題から現在までの時系列からご紹介していきます。
2018年8月末に改ざんが発覚
参照元URL:アパート融資資料改ざん、TATERUでも
TATERU(タテル)は2018年4月に「自己資産が少なくても経営可能」と言って、都内に住む男性にアパートを紹介しました。
男性は自己資産が少なく、本来であれば1億1000万円の融資はかなり厳しい状況です。
しかし、西京銀行からの融資を有利にするため、男性の知らないところで従業員が提供された預金データの残高を改ざんしていました。
融資の通過を不審に思った男性が西京銀行に直接開示を求めたところ、改ざんの事実が発覚して融資の実行は取り下げられます。
男性は契約解除と1200万円の違約金を請求するものの、支払われたのは100万円(手付金50万円の倍)のみです。
不服とした男性は改ざんを弁護士に相談し、昨年8月31日に日経新聞が問題を取り上げたことで世間に知れ渡ります。
第三者委員会で調査開始
参照元URL:特別調査委員会からの調査結果報告書(要約版)受領および今後の対応に関するお知らせ
9月4日に弁護士と外部取締役を中心に構成された第三者委員会が設置され、改ざんの有り無しについて調査を開始しました。
調査対象は本件だけではなく、過去にも同様の行為があったか事実確認を行っており、31人の社員が改ざんを行っていたことが判明します。
再発防止策の発表と役員処分
参照元URL:当社従業員による不適切行為に対する再発防止策に関するお知らせ
TATERU(タテル)は第三者委員会とは別に独自で再発防止策の検討を進め、9月14日に業務フローの変更や契約適合性手続きの厳格化などの対策を発表します。
第三者委員会の調査結果は3ヶ月を見込んでいましたが、3週間程延長して12月27日に報告書の要約が公表されました。
再発防止策は第三者委員会から評価を受けており、企業風土やコンプライアンスの設立など再発防止制度の構築と維持に取り組むとあります。
本件に関わった関係者に対しては厳正な処分をするともあり、常務取締役の1人が辞任することになりました。
また、代表を始め各役員の月額報酬を減額する処分も同時に発表されます。
国土交通省から聴聞を受ける
参照元URL:宅地建物取引業者に対する聴聞の実施について
国土交通省に属する関東地方整備局は2019年6月13日に、TATERU(タテル)に対して聴聞を行うことを発表しました。
TATERU(タテル)が起こした問題は、宅地建物取引業法に違反する可能性があるので聴聞の実施が決定しました。
2019年6月28日に業務停止の処分の発表
参照元URL:宅地建物取引業法に基づく行政処分に関するお知らせ
聴聞の結果、6月28日に国土交通省から業務停止の処分が発表されました。
処分の期間は7月12日~18日の7日間で、宅地建設取引業に関する全ての業務が停止となります。
停止される業務は宅地建設取引業の全て
今回、業務停止の対象となる宅地建設取引業とは、土地や建物の売買・交換、賃貸の仲介、分譲住宅の販売代理などの業務が該当します。
つまり、TATERU(タテル)はアパートメントの販売や賃貸の仲介が7日間行えないということです。
宅地建物取引業は宅地建物取引業法によって規制されており、業務は国土交通大臣もしくは都道府県知事から免許を受けないと行えません。
また、宅地業務により取引関係者に損害を与えたり、公正を脅かす行為を行ったりした場合、免許権者から指示処分や業務停止処分が下されることになっています。
今回は宅地建設取引業で不正行為・不当な行為を行った(第65条第2項)と判断され、業務停止の処分を受けることになりました。
管理業務は業務停止の範囲外
宅地建物取引業が一定期間行われないとなると、管理を任せているオーナーは管理業務も被害を受けると考えることでしょう。
しかし、賃貸管理業務は不動産業に該当し宅地建物取引業に該当しないため、業務停止処分の対象に含まれていません。
オーナーから賃貸仲介の応募を受けた場合は宅地建物取引業に当てはまりますが、自分たちでビルやアパートを経営する貸借は含まれないのです。
そもそも賃貸管理業務とは家賃の集金や契約更新、退去の際の敷金清算、入居者からのクレーム対応などが当てはまります。
これらの業務は宅建免許がなくても可能な業務なので、業務停止の間も管理業務はいつも通り行われます。
毎月の家賃収入もしっかり入り、契約更新やクレーム対応なども行われるので、既存のオーナーに不利益が生じる可能性はほぼないでしょう。
TATERUは12月に発表した再発防止策の取り組みを進めていますが、今回の処分を重く受け止め、今後も信頼回復に注力すると公表しています。
現在、アパートメント事業は新規営業をストップしているため、その点に関しては業務停止の間も状況は変わらないと言えるでしょう。
管理業務やIoT業務は問題なく行えるので、利益が出せないという心配やアパート管理が怠るという心配はありません。
停止期間も7日間と比較的軽いものなので、大きな打撃になるとは考えにくいです。
業務停止後の経営はどうなるのか?
続いては、業務停止処分を受けた会社の経営はどうなるのか見てみましょう。
業務停止処分は経営に大きな影響を与える可能性も…
業務停止処分は、どの程度の違反を行ったかによって、適用される期間が異なります。
多くの場合は、3ヶ月~6ヶ月程度の業務停止を命じられるのですが、中には1年以上という非常に長い期間業務停止をしなければいけないケースもあります。
そのため、一概にどのくらいの期間が平均的なのかということは難しいと言えます。
業務停止処分を下された会社は、一部もしくは全ての業務が停止することになってしまいます。
そのため、経営に大きな影響を与えることになってしまうでしょう。
3ヶ月~6ヶ月程度といった短期間の業務停止であれば、そこまで大きな影響を与えることはないと考えられています。
しかし、12ヶ月~18ヶ月といった中長期間の業務停止の場合は、経営に及ぼす影響がかなり大きくなってしまうため、倒産してしまう可能性も高くなってしまうと言えるのではないでしょうか?
もちろん他の業務で経営を維持できる会社もあるため、必ずしも全ての会社がそうとは限りません。
コンプライアンス体制などを整備し直し、業務について見直すことができれば、その後立て直せる可能性もあるため、業務停止処分を受けた会社自体の考え方によって将来的に存続するか変わってくると言えます。
TATERU(タテル)に未来はあるのか
TATERU(タテル)は、アパートメント事業以外の事業も行っています。
それらの事業は現在も継続しているため、TATERU(タテル)が行っている全ての事業が停止しているわけではありません。
最後に、TATERU(タテル)が行っているその他の事業を確認しながら、TATERU(タテル)の未来について考えてみましょう。
TABICT
TABICTは、TATERU bnbという名前で行われていましたが、2019年4月25日にTABICTに変更されました。
TABICTには、新しい旅を提供したいという思いが込められています。
そんなTABICTではどのようなサービスを提供しているのか一部ではありますが、ご紹介しましょう。
TRIP PHONE
TRIP PHONEは、AIを活用したサービスでトリップコンシェルジュが様々な要望に対応可能となっています。
日本語、英語、中国語、韓国語に対応しているため、ほとんどの宿泊客に対応できるでしょう。
TRIP PHONEを宿泊客に渡して使ってもらうことで、言葉の壁を感じることなくお互いにストレスフリーの関係性を築くこともできると考えられます。
外国人宿泊客は、言葉が通じないことを不安に感じているケースも少なくありません。
TRIP PHONEによりインバウンド需要に向けた事業展開も行えるでしょう。
Wanderpass
Wanderpassは、美術館や博物館で使われている音声ガイドをあらゆる場所で使えるようになるアプリです。
アプリを立ち上げてイヤホンで聞きながら歩くと、様々な場所にあるおすすめスポットの情報などを教えてくれます。
ツアーガイドのように特定のコースを巡るのではなく、好きな場所を自由に回ることもできるため、自分だけの旅を楽しめるでしょう。
Wanderpassが紹介してくれるスポットの中には、地元の人しか知らないような穴場スポットや隠れた名店もあります。
初めて訪れる場所はもちろん楽しめますが、何度か足を運んだことがある場所でも新たな発見ができるでしょう。
浅草や上野、銀座、日本橋、神楽坂といった場所が対応していますが、今後追加されていく予定となっています。
TABICTでは、このように旅を楽しくするためのサポートをするサービスの提供を行っています。
外国人観光客の数も増えているため、需要も高まっているサービスです。
TATERU Buy-Sell
TATERU Buy-Sell(タテル バイセル)は、不動産を売りたい人と買いたい人に情報を提供している不動産系のポータルサイトです。
最新のテクノロジーを駆使することによって、より有利な情報を発信しているため、非常に魅力的なサービスだと言えます。
TATERU Buy-Sellでは、不動産の周辺情報を可視化することにより、快適な住環境であるかを確認できるようになっています。
内覧予約もWEBで完結し、やりとりもチャットで簡単にできます。
そのため、非常にスムーズなやり取りを実現しているのです。
このように便利なサービスを利用できるTATERU Buy-Sellですが、会員登録は無料で行うことができ、サービスは全て無料で利用可能となっています。
TATERU Ventures
TATERU Venturesは、リアルエステートテックが持つ可能性を広げるためにTATERU(タテル)と共創できる企業へ投資を行っています。
投資によって、企業価値を向上させたり、新しい創造を目指したりしているのです。
TATERU Venturesの事業には、IoTや検索プラットフォーム、不動産投資、スマートホテル、AI・ビッグデータ、価格推定システム、ローン・保証、仲介・管理業務支援といったものがあります。
また、START-UP supportとしてシード期やアーリー期のスタートアップ企業をサポートするという取り組みも行っています。
このサポートは、協業していく可能性や新しい事業領域に取り組むためのヒントを見つけるものです。
多くの企業と取り組みを行うことによって、TATERU(タテル)が持つ可能性も広がっていくことでしょう。
これらの事業からTATERU(タテル)の未来を考えてみる
TATERU(タテル)は、顧客の預金残高データを改ざんするという、あってはならない問題を起こしてしまい、経営が危うい状況に立たされることになってしまいました。
業務停止処分によって主要となるアパートメント事業も停止しなければいけない状態であるため、倒産を懸念する声も囁かれていました。
しかしTATERU(タテル)は、あらゆる対策を取り、現在に至るまで倒産を免れています。
それでもTATERU(タテル)の将来を心配する声はあります。
とても大きな問題を起こしているため、心配する声が上がるのは仕方ないことだと言えるでしょう。
そんな中TATERU(タテル)は、アパートメント事業以外の事業を継続することにより、経営を維持しようとする姿勢も見せています。
全ての業務が停止されているわけではないため、停止されてしまった事業以外は継続可能なのです。
継続できる事業はそのまま続けていけば、完全にTATERU(タテル)の事業が止まってしまうことはありません。
また、インバウンド需要を狙ったスマートホテル事業なども行っていることから、これからの時代のニーズにも応えられる事業を展開していると言えます。
TATERU(タテル)は現在苦しい状況にあることは間違いありません。
しかし、他の事業や新しい事業を展開し続けることにより、将来の事業へとつなげられることでしょう。