TATERU(タテル)の早期退職優遇制度!経営再建は可能か?

当該記事については、アフィリエイトや企業からの取材費をいただき、物件を紹介したり分析したりしています。

TATERU(タテル)の残高データ改ざん問題について、国土交通省関東地方整備局は宅地建物取引業法に基づき業務停止処分を下しました。

TATERU(タテル)側は早期退職優遇制度を設けて経営再建に向けて動いているようですが、業務停止処分が与えるダメージはどれほどあったのでしょうか?

今後、TATERU(タテル)は以前のような勢いを取り戻せるのか、注目ポイントを考えてみました。

 

 

TATERU(タテル)の早期退職優遇制度は経営再建につながるのか

早期退職優遇制度についてIRニュースで開示されたのは、2019年7月5日のことです。

経営再建では人件費の見直しが一般的であるため、財務強化が狙いだと考えられます。

早期退職優遇制度は本当に経営再建につながるのか考察してみました。

 

外部リンク:早期退職優遇制度の実施について

 

経費をどのくらい削減できるのか

早期退職制度により年間でどのくらい経費を圧縮でき、早期退職にかかる特損計上はどのくらいになるのでしょうか?

 

販促費がどれだけ浮くか

2019年7月5日に開示された「早期退職優遇制度の実施について」によると、募集人数は160名程度としています。

第13期の有価証券報告書によれば、2018年12月末までの平均年間給与は約719万円です。

 

外部リンク:有価証券報告書-第13期(平成30年1月1日-平成30年12月31日)

 

160人が早期退職をする場合、160人×719万円=約11.5億円の販管費が浮くことになるでしょう。

 

特損がどのくらい計上されるか

TATERU(タテル)の場合、財務が厳しい状況を踏まえると早期退職による退職金は1人あたり月収4ヶ月分程度が支払われるのではないかと想定されます。

1ヶ月の月収が60万円だとすると、4ヶ月分の収入は240万円です。

160人分で計算すれば、240万円×160人=約3.8億円の特損が計上されると考えられます。

 

2019年度に圧縮される経費額

上記の計算で考えれば、早期退職により160人分(年間約11.5億円)が圧縮され、その代わり約3.8億円が特損に計上されることになります。

では、結果的にどれだけの経費削減になるのでしょうか?

2019年度に限定されますが、削減される費用は11.5億円-3.8億円=7.7億円分の費用を減らすことができます。

特損が発生しても減らせる経費の方が大きいので、経営再建につながる可能性は大きいと言えるでしょう。

 

ポジティブな早期退職だと考えられる

早期退職は悪く言えばリストラなので、ネガティブなイメージと捉えがちでしょう。

実は、大規模なリストラは珍しいことではなく、大手金融機関でも業務削減による配置の見直しが行われています。

例えば、三菱、みずほ、三井住友などのメガバンクはAIやITの活用により、事務作業などの無駄を省いて1万人や3万人分の業務を削減すると発表しています。

人員の削減とは言っていませんが、銀行員の数が減ることで早期退職者が少なからず出てくると考えられるでしょう。

 

外部リンク:AIで10年間で3万人分の業務削減 転職を希望するメガバンク社員が続出

 

また、損保ジャパンなどは介護会社へ移籍するように促し、人件費100億円の圧縮を見通しに計画しています。

 

外部リンク:損保ジャパン、4000人削減=ITで効率化、介護分野などに配転

 

財務が厳しいTATERU(タテル)はITの活用により、少ない人員配置でも業務の効率化を実現でき、収益性のアップを狙っているのではと考えられます。

 

第三者割当増資をしていたことが良かったのか

TATERU(タテル)が倒産ではなく早期退職優遇制度を用いて経営再建に至る選択ができた理由には、事前に第三者割当増資をしていたことが挙げられます。

2018年4月24日に海外募集で7,100,000株の公募増資をしており、発行価格は約138億円になります。

元々は既存・新規事業の事業拡大資金や成長とシェア拡大を目的とした投資・出資資金、短期借入金の返済資金の使い道として調達しています。

大規模な早期退職優遇制度を導入できるのも、第三者割当増資を行っていたことが功を奏したと考えられるでしょう。

 

 

業務停止処分が与えた経営に対するダメージは?

TATERU(タテル)は2019年7月12日から18日までの7日間、国土交通省関東地方整備局から業務停止処分を言い渡されました。

 

外部リンク:宅地建物取引業法に基づく行政処分に関するお知らせ

 

既に停止期間は過ぎていますが、経営にどれだけのダメージがあったのでしょうか?

 

オーナーへの被害

まずは業務停止処分が決定する流れと、アパートのオーナーが受ける被害から考えてみましょう。

6月13日に関東地方整備局はTATERU(タテル)に対して聴聞を行うことを公式に告知し、同月21日に実施されました。

その結果、宅地建物取引業法に触れると判断され、6月28日に第65条第2項に基づいて7日間の業務停止処分を下し、TATERU(タテル)側もIRニュースで公表します。

停止期間中は、宅地建物取引業に該当する宅地または建物の売買や賃貸の仲介が行えません。

しかし、管理業務に関しては宅地建物取引業には当たらないため、停止中も通常通りに行われたことでしょう。

その理由からオーナーへ直接的な被害はなかったと考えられます。

業務停止処分は他社の事例を見ても重い処分ですが、そもそも本格的な営業を再開している状態ではないので、処分の影響範囲は限定的なものと言えます。

 

外部リンク:宅地建物取引業者に対する聴聞の実施について | 記者発表 | 国土交通省 関東地方整備局

外部リンク:TATERU、業務停止に反論 融資書類改ざんの処分巡り

 

投資家は企業価値の分析が重要

TATERU(タテル)は東証一部への上場企業であるため、株を保有する投資家はたくさんいます。

投資では業績が重要なので、業務停止処分の影響がどう出るか気になる部分でしょう。

改ざん問題から営業を自粛しているため、現在は本来の営業利益を生み出せていない状況です。

既存顧客に対するサポートを最優先としているので、業績が悪いのは当然の状況と言えます。

しかし、財政基盤は安定しており倒産のリスクは少ないため、今後の株価の動向が気になるところでしょう。

今のうちに業績を予想したいのであれば、企業価値の分析がポイントとなります。

企業価値とは簡単に言えばその会社の魅力を指数化したもので、将来性や成長性の判断でも重要なので、株価とも連動します。

ほとんど注目されていない今のタイミングで今後を予測し、株を買うことで大きなリターンを得られる可能性があるでしょう。

 

DCF法から企業価値を算出する方法

DCF(Discount Cash Flow)法とは企業価値を算定する手法概念です。

世界大規模の投資持株会社ウォーレン・バフェットのCEOであり、投資家として名高いウォーレン・バフェット氏も用いていると言われています。

有名投資家も用いる算定手法なので、信憑性の高い企業価値を割り出すことが可能です。

ただ、DCF法は計算方法が複数あり、細かい計算は高度で難しい計算となってしまいます。

そのため、今回は簡略化した計算式で理論株価を出す方法をご紹介しましょう。

 

(事業価値+財産価値-負債-非支配株主持分)÷発行済株式数

 

DCF法による企業価値の算出方法は、上記の計算式で簡易的に求めることが可能です。

求める前に、それぞれの項目の意味を知る必要があるのでご紹介しましょう。

 

事業価値について

事業価値は特定の事業で獲得できるキャッシュフローの現在価値を金額化した値です。

「営業利益×0.6(実効法人税率 税引)÷0.06(期待収益率)」で算出できます。

なお、計算式は実行法人税率を40%にしているため、税引き分が反映されており、さらに期待収益率ではTOPIXの平均期待収益率などを参考にしながら6%と仮定しています。

 

財産価値について

流動資産から流動負債を差し引いて、さらに投資その他資産を加算した数値を財産価値と言います。

財産価値は「流動資産-(流動負債×1.2(上場企業の流動比率を参考に仮定))+投資その他の資産」で算出可能です。

投資その他の資産とは、投資有価証券や繰延税金資産などの換金性と客観性の高い資産のことです。

 

負債について

DCF法で使われる負債は、支払期限が1年後となる固定負債を指します。

 

非支配株主持分について

非支配株主持分は勘定科目の1つで、子会社の資本のうち親会社に帰属されない持分を指します。

連結貸借対照表上では、純資産に計上されています。

 

実際にTATERU(タテル)の企業価値を計算してみた。

上記の各項目の計算式とTATERU(タテル)の決算短信を照らし合わせると、次の結果となりました。

 

外部リンク:有価証券報告書-第12期(平成29年1月1日-平成29年12月31日)

外部リンク:四半期報告書-第14期第1四半期(2019年1月1日-2019年3月31日)

 

・事業価値…約590億円(2017年12月期の営業利益が約59億円)
・財産価値…約124億円(2019年12月期第1四半期の流動資産が約242億円、流動負債が約113億円、投資その他の資産が約18億円)
・負債…約14億円(2019年12月期第1四半期の固定負債が約14億円)
・非支配株主持分…約1億円(2019年12月期第1四半期)
・発行済株式数…88,767,000株(2019年12月期第1四半期)

 

上記の数値を計算式に当てはめ、企業価値を算出すると次の結果となります。

 

(事業価値+財産価値-負債-非支配株主持分)÷発行済株式数

(590億円+124億円-14億円-1億円)÷88,767,000株=約787円

 

計算によって、TATERU(タテル)の理論価値は約787円と導き出されました。

現在の株価は190~180円台となっていますが、理論株価で見ると約787円の価値があると判断できます。

経営再建が進めば、理論株価に近い値に戻る可能性は十分に見込めるでしょう。

 

 

今後のTATERU(タテル)注目ポイント

改ざん問題は許されるべきことではありませんが、業務停止処分を経て、TATERU(タテル)は改めて再発防止策の徹底に取り組むことが予想されます。

では、TATERU(タテル)は今後どのようなことに取り組んでいくのでしょうか?

SNSや掲示板の声や、今後の決算発表予定などを取り上げていきましょう。

 

SNSや掲示板にはどのような声がある?

SNSや掲示板では、TATERU(タテル)の今後に関する内容にどのような声が挙がっているのでしょうか?

 


Twitterのユーザーは、改ざん問題や行政処分を受けて落ち込みつつある今だからこそ、リバウンドがあるのではないかと期待している方もいます。

 

TATERU(タテル)は、アパートメント事業の業務停止処分が発表される前までに竣工予定だった不動産賃貸もあります。

今後、アパートメント事業が徐々に再開していけば、さらに事業としての取り組みも活発になることも予想できるでしょう。

 

TATERUが立ち直ってくれることを期待してます

外部リンク:https://finance.yahoo.co.jp/cm/message/1835618/2cbf9cbe41201ab89304ab3e7bf1a720/122/537

改ざん問題から再発防止策に取り組みつつも、業務停止命令処分を受けたことで、信頼性が失われてきているのではないかと感じる方もいるでしょう。

しかし、こちらの方のようにTATERU(タテル)のこれまでの取り組みを踏まえて理解を示す声も多く、今後の事業活動を応援していこうと考える方もたくさんいるのです。

 

今後の決算発表予定は?

TATERU(タテル)は、2019年5月13日に2019年12月期第1四半期決算短信を発表しています。

例年通りであれば、第2四半期決算短信発表は7月末から8月初めに行われる予定となっています。

しかし、TATERU(タテル)は宅地建物取引業法に基づく行政処分として、2019年7月12日から7月18日の7日間、宅地建物取引業に関わる業務全般が停止となりました。

TATERU(タテル)では、2019年6月28日、行政処分が発表された段階で、再発防止策の徹底と今後の見通しを発表しています。

 

外部リンク:宅地建物取引業法に基づく行政処分に関するお知らせ

 

6月28日発表の「宅地建物取引業に基づく行政処分に関するお知らせ」によると、今回の行政処分が2019年12月期の連結業績に与える影響が明らかになり次第、公表する旨が記載されています。

また、今後は合理的な予測が可能になった時点で、2019年12月期の業績予想を開示することを発表しました。

現段階では業績予想を非開示としていますが、行政処分による影響を踏まえ、業績予想が可能になれば発表されるのではないでしょうか?

業務停止処分は宅地建物取引業に関わる業務のみなので、それ以外の事業ではこれまで通り業務に取り組んでいたため、影響はそれ程大きくないのではないかと考えられます。

業務停止処分となったアパートメント事業に関しても、改ざん問題発覚後は営業や広告掲載等を自粛しており、新規顧客を取っていない状況です。

しかし、今後2019年12月期第2四半期短信や業績予想が開示されれば、アパートメント事業も本格的な再開に向けて方針が出されるでしょう。

IoT技術を駆使した新たなサービスや、これまでになかった不動産賃貸などを生み出していく可能性もあります。

SNSや掲示板においても、今後の決算発表を期待する声もありました。

今後は、TATERU(タテル)からの決算発表や業績予想に注目していく必要があります。

 

データ改ざん防止システム活用

2019年1月7日には、近年注目されるブロックチェーン技術を駆使して「データ改ざん防止システム」の共同開発開始が発表されました。

 

外部リンク:ブロックチェーン技術を活用したソリューションを開発・提供する Diginexと「データ改ざん防止システム」の共同開発を開始

 

このシステムは、ブロックチェーンソリューションやデジタル金融サービスを提供している「Diginex」との共同開発によるものです。

顧客が不動産会社を介さずにデータをアップロードでき、データがブロックチェーン上に自動的にインプットされる仕組みとなっています。

ブロックチェーン上にデータがインプットされると、間違ったデータが書き込まれても同じハッシュ値が生まれないという特徴があります。

つまり、改ざん自体が困難になるだけでなく、ブロックチェーンにインプットされたハッシュ値確認で改ざん問題の有無も把握できるようになるのです。

2019年1月7日時点では、顧客のデータを安全に共有できるようになるシステムとして、2019年2月頃から実証予定とされていました。

再発防止策の徹底はもちろん、データ改ざん防止システムが今後積極的に活用されれば、2度と不正を繰り返さないように取り組むTATERU(タテル)の姿勢は多くの方に理解されるのではないでしょうか?

また、2019年4月8日には、「Kit HOME ENTRANCE」導入のIoTモデルルームがオープンしています。

 

外部リンク:外出先からスマートフォンで解錠できるエントランスキー 「kit HOME ENTRANCE」を導入した 最新のIoTアパートが東京都板橋区に完成 IoTモデルルーム オープン!

 

Kit HOME ENTRANCEは外出先からでもスマートフォンがあれば解錠できるシステムです。

最新のIoTアパートを積極的に提案していることを踏まえても、TATERU(タテル)のアパートメント事業が本格的に再開となれば、業績に大きく貢献していく可能性があります。

改ざん問題に関する再発防止策の徹底から、事業再開に向けた展開にも注目しましょう。

 

今回は、TATERU(タテル)の早期退職優遇制度や業務停止処分によるダメージ、今後の注目ポイントについて取り上げてきました。

業務停止処分を経て、今後は再発防止策に徹底だけでなく、2019年12月期第2四半期短信、業績予想が開示されることが予想されます。

本格的にアパートメント事業が再開すれば、革新的で利便性の高いシステムやサービスを作り上げていく可能性が高いです。

TATERU(タテル)の業績予想をはじめ、今後の展開にも注目していきましょう。

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