TATERU(タテル)ではこれまでアパートメント事業を中心に活動していましたが、昨年発生した預金残高データの不正改ざん問題によって新規営業を停止したことで業績が低下、株価も下落しています。
しかしTATERU(タテル)もただ黙っていたわけではありません。
これまで何とか復活を遂げようと、様々な取り組みを実施してきました。
特に、最近は新たな事業となる「不動産企画開発事業」を展開しています。
そこで今回は、TATERU(タテル)が現在実施している事業の取り組みを見ながら、今後復活する可能性があるか考察していきます。
Contents
TATERU(タテル)が開始した「不動産企画開発事業」は復活の契機になるのか!?
TATERU(タテル)は、2018年8月末に預金残高データを不正に改ざんしたことが明らかになりました。
その後すぐにTATERU(タテル)側は不正改ざんがあったことを認めており、今後同じことが起きないために再発防止対策を発表しています。
しかし、それでも改ざんがあったことは変わらないため、信頼を失ってしまい主力事業であったアパートメント事業の新規営業をストップさせ、既存オーナーとの信頼回復に努めなくてはならない状態に陥ってしまいました。
また、新規営業をストップさせたことでキャッシュを確保するために保有していた販売用不動産を売却したり、早期退職優遇制度を活用して販管費の大幅な削減を行ったりしています。
詳しくは下記IR情報をご確認下さい。
参考URL:https://corp.tateru.co/ir/news
そんな中、TATERU(タテル)から8月8日に新しい情報が入ってきました。
それは、「不動産企画開発事業」をスタートさせるといったものです。
参考URL:テクノロジーを活用した不動産企画開発事業スタート! プロジェクト第一号、東京都渋谷区恵比寿にて始動
具体的に、不動産企画開発事業ではどのような内容の事業が進められるのでしょうか?
まずはTATERU(タテル)の不動産企画開発事業からご紹介していきましょう。
TATERU(タテル)の不動産企画開発事業について
そもそも不動産企画開発とはどういったことを行うのでしょうか?
不動産企画開発とは、「デベロッパー」と呼ばれる不動産会社によって行われる街づくりを指しています。
既存の土地や街から新しい街・環境を作っていくことを目的に様々な事業を手掛けています。
例えば、何もない土地に新しい街を作っていくことはできますが、既存の街を新しく作り直すには土地を所有している地権者と交渉していかなくてはなりません。
土地を手にしたら新しい街にするための企画開発を行います。
最先端の技術を取り入れるだけでなく、その土地の歴史や文化を守りながら人が集まる街・建物を作っていきます。
TATERU(タテル)の不動産企画開発事業は他社のデベロッパーが行ってきた従来の不動産企画開発事業に加えて、最新テクノロジーを活用した不動産企画開発を手掛けていきます。
元々TATERU(タテル)では、経営理念に基づきインターネットやIoT技術などのIT事業とリアルの不動産事業をつなげ、新たなサービスを生み出し提供していました。
そのため、不動産企画開発事業に最新テクノロジーを組み合わせて、新しい不動産企画開発事業を行っているのです。
具体的には、投資家やデベロッパーから受託した不動産にIoT技術を取り入れた物件の企画・開発コンサルタントを実施します。
つまり、新しい街づくりの中にIoT技術が搭載された物件が多く建てられることになるのです。
既に第一号プロジェクトが始動中
発表があった8月8日の段階で、既に第一号プロジェクトが始動していることも発表されています。
第一号プロジェクトは東京の恵比寿にある物件に、子会社のRobot HomeがIoT技術を搭載した機器を導入していきバリューアップさせます。
これにより、現在入居されている方の利便性・安全性が向上することで空室リスクを抑え、さらに物件価値を向上させてくれるのです。
また、現在運送業の大きな問題として挙げられている再配達問題もクリアできるように、kit HOME ENTRANCEと宅配ボックスを活用するサービスも提供しています。
この問題については、不在の多い人間は荷物の受け取り時間に間に合わないなど、顧客の悩みを改善できない他様々なデメリットを抱えた配送業界に対し、「双方のストレス改善」を目的に提案されたのがTATERUの不動産企画開発事業です。
TATERU(タテル)の不動産企画開発事業は復活の契機になる?
TATERU(タテル)の不動産企画開発事業についてご紹介してきましたが、復活を遂げることはできるのでしょうか?
結論から言えば、不動産企画開発事業が今後軌道に乗れば復活の契機となる可能性は十分に高いです。
まず、第一号プロジェクトが既に始動されているとご紹介しましたが、恵比寿というのは渋谷区の大規模再開発事業に含まれています。
渋谷区は現在渋谷駅を中心に、数々の複合施設及び新たな街づくりを行っています。
再開発事業が進められていけば、渋谷区に住みたいと考える人も増えてくるでしょう。
物件を比較する中で、一般的なアパートとIoT技術が搭載されているアパートがあった場合、どちらがより選ばれるかは一目瞭然です。
現在はまだ恵比寿でのプロジェクトのみ公開されていますが、今後さらに範囲を広げ都心部を中心に不動産企画開発事業を展開していくと予想できます。
そのため、軌道に乗ればTATERU(タテル)が復活する契機は十分にあると言えるでしょう。
TATERU(タテル)が取り組む、IoT事業とスマートホテル事業
TATERU(タテル)で、今後主力となる事業はIoT事業とスマートホテル事業の2つになると考えられます。
IoT市場とホテル市場は日本国内でも成長が見込める分野であるため、TATERU(タテル)の経営再建にも影響を与えると予想できるでしょう。
それでは、TATERU(タテル)ではどんな事業を行っているのかご紹介していきます。
IoT事業について
TATERU(タテル)では、連結子会社の株式会社Robot Homeと通じてIoT事業に取り組んでいます。
主な事業は、IoT機器の開発・製造・販売です。
また、IoTを用いたスマートホーム、賃貸管理サービス、不動産オーナー向けアプリの開発・販売・運用保守も行っています。
TATERU(タテル)は今まで、株式会社Robot Homeで生み出したIoT機器を導入したアパートメントの開発や、アパートオーナーに向けては管理状況を把握できるアプリの提供により、アパートメント事業を発展させていました。
IoT事業はTATERU(タテル)の強みであり、成長にも深く関わった事業だと言えます。
そんなIoT事業では、具体的にどんなサービスを提供しているのかご紹介していきましょう。
Apartment kit
Apartment kitは、IoTを用いた今までにない新しい賃貸経営プラットフォームです。
入居者であればIoT機器の導入した住まいでより快適で便利な暮らしができ、オーナーや管理会社なら連絡や手間が掛かりやすい雑務を一元管理化させ、業務効率化できるサービスとなります。
TATERU(タテル)が手掛けたアパートメントでは、Apartment kitの導入が標準仕様となっているので、別途で申し込みや手続きなどは不要です。
現在、自社のアパートメントだけではなく、他社の賃貸物件や建売物件での導入の推進も広めています。
2019年4月8日には、東京都板橋区に「kit HOME ENTRANCE」というエントランスキーを導入したIoTアパートのモデルルームをオープンさせました。
参考URL:外出先からスマートフォンで解錠できるエントランスキー「kit HOME ENTRANCE」を導入した最新のIoTアパートが東京都板橋区に完成 IoTモデルルーム オープン!
そこでは、最新のIoTアパートのシステムを直接体験できるので、入居やアパート経営を考える人の意思決定に役立つと言えるでしょう。
kit HOME ENTRANCE以外にも、エアコンやテレビなどの家電もIoT機器と連動してアプリで操作可能です。
また、8月26日には、福岡県を中心に戸建住宅を手掛ける株式会社ニーズコーポレーションの建売住宅へApartment kitの導入が決定しています。
参考URL:”福岡で初”となるIoT導入の建売住宅をニーズコーポレーションが発売!
さらに、管理会社の業務に対してソリューションを提供している「Apartment kit for Business」は、経済産業省が推進する「平成30年度補正サービス等生産性向上IT導入支援事業費補助金」の対象に選ばれました。
2019年8月23日で申請は終了していますが、最大150万円の補助を受けて導入できるようになっています。
今後も補助金制度の対象になる可能性は高いので、自社アパートに限らず既存や新築の他社賃貸物件から戸建住宅にもApartment kitは浸透していくと期待できます。
参考URL:IT導入補助金制度2019の対象にロボットホームが開発する「Apartment kit for Business」が認定
IoT製品について
Apartment kitを導入すると、スマホや備え付けのコントローラーから家電や照明のオン・オフ、玄関カギの解錠といった操作が可能となります。
外から遠隔操作が可能なので、消し忘れや帰宅のタイミングに合わせてオンにするなどの操作ができて便利です。
スマートスピーカーとも連動可能なので、音声で家電のオン・オフの操作も行えます。
セキュリティを高める機器もあり、窓や扉に貼り付けるだけで外から開けようとすると異常を察知して警告音が鳴り、さらに情報がスマホに通知される仕組みとなっています。
玄関ドアも従来のシリンダーキーを使わずとも、スマホやICカードから施錠でき、ピッキング被害のリスクを下げることが可能です。
集合住宅向けのエントランスキーを導入では、外出先から訪問者の応答やエントランスの解錠ができるようになります。
管理会社に向けたアプリについて
管理会社に向けたアプリでは、契約者や入金・家賃管理、清算明細の書類作成、解約・退去・掃除など業務を一元管理化できます。
書類作成では入力の手間やミスを軽減でき、書類のペーパーレス化も図ることが可能です。
請求管理のミス予防や迅速なクレーム対応の実現など、業務効率化に期待できます。
オーナー向けアプリは、稼動率や募集サイトへのアクセス数などの物件状況をいつでも確認可能です。
管理会社と連携しており、退去の受付完了通知や原状回復工事の見積もりから依頼、次の入居者の募集や仲介サイトへの掲載なども行えます。
地域情報を取得できるので、より精度の高い賃貸経営を実現できるアプリです。
何か困った時はチャットアプリを通じて管理会社とやり取りできる点も魅力でしょう。
スマートホテル事業について
スマートホテル事業は連結子会社の株式会社TABICTで行われています。
主な事業内容はTRIP POD、bnb kit、TRIP PHONE・TRIP CONCIERGE、bnb BOOK・bnb CLEANING、Wanderpassなどの企画・開発・運営です。
また、宿泊施設の企画・開発・運営・代行、宿泊施設や賃貸物件の保証業務を行っています。
スマートホテル事業について
IoT機器を導入したスマートホテルのサービスになります。
オーナーになりたい人は1棟タイプやホテルスタイプ、ホテルタイプ、アパートタイプなど好みの施設やコンセプトデザインのホテルを企画し、運営を始めることが可能です。
専用アプリからはコンシェルジュと相談することができ、土地探しや稼働率の高いホテルの提案などが受けられるサービスを搭載予定です。
運営代行があるため管理やクレーム処理に手間はかからず、効率良く収入が手に入ります。
オーナー向けサービス
ホテルオーナー向けのサービスにはbnb Kitやbnb BOOK、bnb CLEANINGがあります。
bnb Kitでは、予約時に発行されるナンバーで部屋の解錠ができるロックや多言語に対応したタブレット端末、滞在中にトリップ・コンシェルジュサービスを利用できるデバイスを提供し、セキュリティの向上や業務の効率化、インバウンド対応が図れます。
提供されるCHECK-IN PADでは、無人の状態でも宿泊者はタブレット端末からチェックインやキーの発行が可能となっています。
本人認証機能もあるので、宿泊者以外の人により不正にチェックインされる心配はありません。
bnb BOOKは予約・宿泊管理から清掃業者への連絡までワンストップで一元化できるサービスです。
宿泊者の情報を一括で集約できるので管理がしやすく、チェックイン・チェックアウトの指定日に清掃や支払いのステータスなども一目で分かります。
bnb CLEANINGはbnb BOOKのオプションで付帯可能の掃除の代行サービスです。
掃除の依頼から依頼どおりに遂行されたか写真付きで報告を受けられ、簡単かつ効率的に客室掃除を行えます。
TATERU(タテル)は業務効率を高めるサービスを通じて、オーナーも宿泊者も満足するホテル運営を提供しているのです。
宿泊者向けサービス
宿泊者に向けたサービスはbnb Kitで提供されるTRIP PHONEの貸し出しサービスを受けられます。
TRIP PHONEでは、周辺の飲食店や観光地の紹介や予約、交通機関の案内、タクシーの手配などのサービスを専用端末から利用できます。
英語、中国語、韓国語に対応しているので、海外観光客への対応にも最適です。
また、オーナーはチャット機能やMAPなど利用履歴から宿泊者の需要を把握でき、より効率の良いホテル運営が可能になるでしょう。
Wanderpassという、GPS機能と連動したアプリも提供しています。
音声ガイドの感覚でおすすめスポットのガイドを受けられ、地元の人しか知らない穴場情報も入手できるので、より旅を楽しくしてくれるサービスです。
現在は観光地として人気の浅草、上野、銀座、日本橋、神楽坂などに対応し、スポットは随時追加される予定です。
参考URL:株式会社TABICT(タビクト)コーポレートサイト
5G、IoT時代にTATERU(タテル)のビジネスモデルは注目を浴びる可能性が高い
IoTやスマートホテルに着手するTATERU(タテル)のビジネスモデルは、今の時代に注目される事業と言えます。
その理由は、近々実現する「5G」に鍵があります。
5Gとは
5Gは3Gや4Gといったモバイル通信規格の一つで、第5世代通信とも呼ばれています。
現在、スマートフォンは4Gが用いられており、高速データ通信を可能とした3Gを上回る容量と高速通信化を実現しています。
5Gはさらに高速大容量化となり、同時に低遅延に低コスト、省電力、多接続の機能も持ち合わせることになるようです。
身近なアイテム同士をワイヤレス通信できるようになり、また同時に複数の端末に接続可能となります。
4Gよりも速いので通信の遅延が少なく、例えば映像なら遠く離れた場所でもほとんどタイムラグなしで生配信できるようになるのです。
5Gの実装でIoT化はより進む
現在のIoT機器はBluetoothやWi-Fiを通じてつながっており、同時に複数の端末と接続できません。
しかし、5Gでは1k㎡あたり100万台の端末と同時接続が可能という話もあり、ストレスを感じずIoT機器を利用できるようになるでしょう。
特に人が多く集まる場所に適している機能です。
今以上に利便性が高まることから、様々なアイテムのIoT化が進むと予想されます。
通信機器や家電だけではなく、自動運転でも応用が期待されています。
自動運転技術では、自動車の制御機能に加えて周囲の車両やインフラ、ダイナミックマップなどの情報が備わったサーバーに接続し、情報の送受信をして安全性を確保しているのです。
その情報量は非常に膨大なもので、1日あたり4TBのデータが生産されると試算されています。
運転は状況が変化しやすいため、適切なデータを素早く送受信することが求められるので、高速大容量通信が可能な5Gが注目されているのです。
5Gは2020年に商用化されるとされており、実際に導入したら通信機器や家電などはさらに進化していくでしょう。
各ビジネスはIoT化が進む社会から目を背けられない時代になると予想され、TATERU(タテル)も5Gを視野に入れた事業を展開していくと考えられます。
今の時代に求められる技術なので、TATERU(タテル)のビジネスモデルは今後も成長を続け、再び安定した経営の実現が可能だと期待できます。