TATERU(タテル)は、過去に顧客の預金残高を改ざんするという大きな問題を起こし、社会的な信頼も失いかけるという事態に陥り、株価にも大きな影響を与え、株主も困惑してしまいました。
そんなTATERU(タテル)は、現在様々な改善策を提案し、信頼回復に向けた動きを見せています。
今回は、2019年5月~6月の間に発表されたTATERU(タテル)の新たな動き、そしてTRASTA社売却や早期退職優遇制度の目的、TATERU(タテル)の事業立て直しは順調に進んでいくのか、をご紹介していきましょう。
TATERU(タテル)の将来に不安を感じている人はぜひ目を通してみてください。
TATERU(タテル)に動きが!2019年5~6月の動きまとめ。
2019年5月~6月の間に、TATERU(タテル)ではいくつかの動きがありました。
まずは、四半期決算報告から分かることやIR情報に関することから見ていきましょう。
TATERU(タテル)の四半期決算報告から分かること
TATERU(タテル)は、2019年5月に四半期決算報告を発表しています。この四半期決算報告から分かることから見ていきましょう。
参考元URL:2019年 12月期 第1四半期 決算説明資料
営業活動を自粛している
2018年に発覚した顧客の預金残高を改ざんするという大きな問題を受けて、本格的に営業活動を自粛しています。
これによって、TATERU(タテル)の売上総利益は-2,624百万円となっているのです。
一括売却に掛かった損失額3,198百万円も計上されていますが、どちらにしても売上総利益の額は減少しています。
営業利益は-4,704百万円、経常利益は-4,893百万円となっていることから、営業活動の自粛はかなり大きな影響を与えていることが分かるでしょう。
売上高が減少している事業だけではない
営業活動を自粛したことでTATERU(タテル)にとってマイナス要素が大きいように感じるでしょう。
しかし実際はそうではない部分もあるのです。
なぜかというと、スマートホテル事業での売上は伸び始めているからです。
メインとなっていたアパートメント事業から方向性を変えていくことによって、売上を補うことができているのではないかと考えられます。
2019年5月~6月の間にあったTATERU(タテル)の動きについて
2019年5月~6月の間、TATERU(タテル)は事業立て直しに向けて様々な動きを見せてきました。
次は、2019年5月~6月の間にあったTATERU(タテル)の動きをご紹介していきます。
2019年12月期の無配当と株主優待廃止の決定
TATERU(タテル)は2019年5月13日に、2019年12月期の無配当と株主優待廃止の決定も発表しています。
参照元URL:2019 年 12 月期における配当予想の修正(無配)及び株主優待制度の廃止に関するお知らせ
2019年12月期の配当は当初未定とされていましたが、無配当と株主優待廃止の決定という結果になりました。
この発表によって株主の中では大きな波紋が広がったようですが、TATERU(タテル)の経営を立て直すためには必要な判断だったと言えるのではないでしょうか?
TATERU(タテル)の株主優待は、かなり魅力的だと評判だっただけに落胆した株主も少なくないでしょう。
しかし、TATERU(タテル)の事業が再度軌道に乗っていけば、同じような優待を得られる可能性もあります。
そのため、TATERU(タテル)の状況を理解している人であれば、今後も支援を続けるのではないかと考えられます。
TRASTA社の株式を譲渡
TATERU(タテル)は、持分法適用関連会社となっていたTRASTA社の株式を譲渡することを2019年6月25日に発表しました。
参照元URL:特別損失(関連会社株式の売却)の発生見込みに関するお知らせ
TRASTA社が持分法適用関連会社から外れることによって、特別損失が発生する可能性があることも併せて発表しています。
TRASTA社の株式を譲渡することで、およそ3億円もの特別損失が発生する可能性があるとされています。
しかし、2019年12月期の連結業績にどの程度の影響を与えるのかはまだ明らかになっていないため、今後発表される予定です。
また、この段階では業績予想も非開示となっているので、合理的な予想ができるようになった段階で開示される予定になっていることも覚えておくと良いでしょう。
株式会社インベストオンラインの株式譲渡契約の解除
2019年3月18日付で「連結子会社の異動(株式譲渡)に関する基本合意書締結に関するお知らせ」を発表し、3月29日付で「(開示事項の経過)連結子会社の異動(株式譲渡)に関する株式譲渡契約締結に関するお知らせ」をTATERU(タテル)は公表していました。
参照元URL:連結子会社の異動(株式譲渡)に関する基本合意書締結に関するお知らせ
(開示事項の経過)連結子会社の異動(株式譲渡)に関する株式譲渡契約締結に関するお知らせ
その件についてTATERU(タテル)は、株式会社インベストオンラインの株式譲渡契約の解除を締結したと2019年6月25日に発表したのです。
株式譲渡後の営業展開及び経営方針などに関する協議の中で、相違を解消できなかったという点が契約の解除につながったと言います。
株式会社インベストオンラインの株式譲渡契約の解除による金銭の授受はありませんが、TATERU(タテル)の連結業績に与える影響はまだはっきりしていません。
そのため、明らかになった時点で公表されます。
参照元URL:(開示事項の中止)連結子会社の異動(株式譲渡)の合意解除に関するお知らせ
宅地建物取引業法に基づく行政処分
2019年6月28日には、宅地建物取引業法に基づく行政処分に関するIR情報を発表しています。
参照元URL:宅地建物取引業法に基づく行政処分に関するお知らせ
行政処分を受けることになった背景には、2018年に発覚した顧客の預金残高の改ざん問題があります。
顧客の預金残高改ざん問題には、営業本部長など31名の社員が関わっていて、融資審査を有利にするための自己資金を改ざんして金融機関に提出したというものです。
処分の内容は、2019年7月12日~7月18日までの7日間、宅地建物取引業にかかる全ての業務を停止するというものになっています。
宅地建物取引業法に基づく行政処分が行われることによるTATERU(タテル)の連結業績に与える影響はまだはっきりしていません。
7日間とはいえ業務を停止することになるため、少なからず影響は出てしまうでしょう。
TRASTA社売却や早期退職優遇制度の目的は何???
TATERU(タテル)は、TRASTA社の売却や早期退職優遇制度をIRで発表していますが、どのような目的で行っているのでしょうか?
予測ですが、経費削減やキャッシュの確保を狙った施策だと考えられます。
業務停止を受けて、TATERU(タテル)がどのような戦略で事業を立て直していくのか考察してみました。
2019年1~3月期は赤字のTATERU(タテル)
5月13日に開示された決算資料では、2019年1~3月期の連結決算が発表されています。
参考元URL:2019年 12月期 第1四半期 決算説明資料
・売上高…46億円(前年同期比68%減)
・営業損益…▲47億円(前年同期は6億7300万円の黒字)
・最終損益…▲60億円(前年同期4億3300万円の黒字)
預金データ改ざん問題が発覚して以降、TATERU(タテル)の業績は赤字に向かっています。
アパートメント事業では受注キャンセルにより土地を買い取る対応をしており、その後、販売用不動産として売却しました。
これにより売却損が発生しますが、売却により一定の資産を得たと考えられます。
さらに、TATERU(タテル)は関連会社や保有する株式を売却し、キャッシュの確保を進めているようです。
TRASTA社の売却はキャッシュの確保が目的だと思われる
6月25日に旅行関連事業を展開するTRASTA社の売却を発表しました。
参考元URL:特別損失(関連会社株式の売却)の発生見込みに関するお知らせ
TATERU(タテル)は、TRASTA社の株を43.3%保有しており、それを全て売却して財務強化を図るのだと考えられます。
3月の時点では、TATERU(タテル)は東証マザーズに上場する金融・コンサルティング企業へ不動産投資コンサルティング会社のインベストオンラインを売却する予定でした。
しかし、譲渡した後の経営方針への合意に至らなかったため、売却は取り止めになったとされています。
関連会社の売却を実現できなくなったため、TRASTA社を売却してキャッシュを確保しようと考えたのではないでしょうか?
早期退職制度の導入は経費削減が目的か
7月5日の取締役会にて、完全子会社を含む従業員を対象とした早期退職制度の実施を発表しています。
参考元URL:早期退職優遇制度の実施について
早期退職制度を実施する理由は、継続的な成長を目指した構造改革を進行し、収益性の改善と早期の業務回復を実現させる施策の1つと挙げています。
また、従業員のライフプランをサポートするためともあります。
では、早期退職制度の主な概要を見ていきましょう。
・募集人数…160人程度
・募集期間…2019年7月8日~7月31日までの予定
・退職日…2019年10月31日の予定
・優遇処置…特別退職金を支給・希望者には再就職支援
早期退職制度自体は経営の立て直しでよく使われる制度です。
整理解雇は従業員のモチベーションを下げてしまうため、それを避けるために早期退職制度が導入されます。
人件費は金額が重い上にコントロールが難しい経費であるため、コストダウンの対象となることが多いです。
優遇性を与えるために退職金を増額させたり、再就職をサポートしたりと一時的なコストはかかりますが、大元のコスト削減には効果的とされています。
そのため、TATERU(タテル)も人件費のコスト削減を目的に実施したのだと考えられます。
現時点でどれだけの社員が自主退職をするか未定ですが、事業縮小に向けて動いていることは明白でしょう。
職を失うことは従業員にとってデメリットとなりますが、転職によりキャリアアップや退職金を活用しての起業チャンスでもあり、考え方次第では早期退職にはメリットもあると言えます。
今後はスマートホテル事業を中心にIoT事業で成長?
TATERU(タテル)は今後、ホテルスマート事業をメインにIoT事業で早期成長を狙っていくのではないでしょうか?
決算情報をセグメント別に見ていくと、アパートメント事業の売上高は前年同期比68.8%減少の44億円で、営業損失は36億円となっています。
一方、宿泊運用サービスを展開するスマートホテル事業の売上高は前年同期80.8%増加の2億600万円となり、営業利益も89.6%増加の7,400万円と順調な様子です。
なお、IoT機器の開発をメインとしたIoT事業の売上高は78%減少の3,600万円、営業損失は6,700万円となっていました。
IoT機器はアパートメント事業との関係性が深いため、新規顧客を獲得できなかった分、売上も伸び悩んだのでしょう。
ただ、IoT分野は今後も大きく成長していく市場であるため、TATERU(タテル)の中でも重要な事業となると予想されます。
IDC Japanの調査によれば、IoT市場の平均成長率は13.3%になり、2023年には11兆7,915億円の市場規模になると予測しています。
参照元URL:国内IoT市場 ユースケース(用途)別/産業分野別予測を発表
成長の背景には国内外の大手ベンダーがスマート家電やスマートオートメーションなどの分野で、新しいサービスの創出に力を入れていることが挙げられるでしょう。
また、最近はホテルの客室数も増加傾向にあります。
近年はアジア近郊を中心に大勢の外国人旅行客が来日しており、ホテル業界も幅広いニーズに対応できるように高級ホテルからリーズナブルなホテルまで多彩な宿泊施設を展開しています。
東京オリンピックや大阪万博の開催予定もあるので、今後ますます各所で観光客が増加すると見込まれるでしょう。
宿泊施設の需要と法整備が進んだことで宿泊経営にも注目が集まっています。
宿泊施設とIoTのどちらも将来成長し続ける分野を予想されるので、TATERU(タテル)もその波に乗って早期成長を図るのではないかと考えられます。
近々アパートメント事業の営業が再開される可能性もあり
アパートメントを手がけるTATERU Apartment(タテルアパートメント)の営業が近々再開する噂も存在します。
TATERU(タテル)は改ざん問題発覚後、アパートメント事業の新規営業やCMの掲載を自粛していました。
再発防止策や第三者委員会の調査が進むうちに、解決の糸口が見え始めたのかCMの放送を再開しています。
また、3月に開かれた株主総会では9割解決済みと報告していました。
具体的にいつから再開するのかは分かりませんが、早期退職者を募っているところを考えると退職者が確定する頃、もしくは早期退職が実行された後だと思います。
営業再開にあたり、社名変更の可能性もあるでしょう。
スマートホーム事業の子会社も事業の方向性を変えると同時に社名を変更しています。
社名を変更する理由は色々ありますが、1つの理由としては宣伝効果だと思われます。
社名は会社の看板であり、それが変更されるだけでもニュースとなるので宣伝効果は抜群なのです。
再スタートする意味で広めてもらえるように、社名を変える可能性があります。
株価が反転攻勢の勢い。事業の立て直しは進むのか!!
改ざん問題が発覚してからTATERU(タテル)の株価は大きく下落しており、年明けまで500~300円台となっていました。
年末年始にかけて日本株価の暴落の煽りを受け、TATERU(タテル)の株価も1月4日が293円となり1月7日~8日に300円台に戻ります。
その後、300円台を維持しますが、2月に入ってから株価が下がり始め、15日には262円にまで下がってしまいました。
ちょうど13日に2018年12月期の決算報告が開示されており、黒字は確保したものの棚卸資産の評価損が悪材料と判断された可能性があります。
日経-4.77 今日はちょっとプラテンしたと思ったらマイテンするを繰り返して、ほぼヨコヨコだったね。買い支えを感じるなあ・・・安倍ちゃん必死だね。こういう動きのほうが持ち株はなぜか上がる傾向がある。TATERUは思ったよりは下がらず。アパマンは悪材料出尽くしか反発した。
— 窓月らら/きゃん/みくにゃん♪ (@miecat_can) 2019年2月14日
下がったとはいえ、想像よりも下がらなかったと安堵する声が見られました。
株価は少し上昇しますが2月27日から再び下落に進み、3月8日には終値225円と最安値を記録します。
2月25日に「通期連結業績予想と実績値の差異、配当予想の修正」を告知しており、当初よりも営業利益と経常利益、当期純利益は下回る実質値に訂正しました。
8日には第13回定時株主総会招集の通知が開示されています。
その後、反転を狙ったように株価は上昇し、15日には終値306円に高騰しました。
下落は悪材料の発覚というよりも、暴落後の反発を狙って売りが集中した可能性もあります。
高騰も一時的なので、再び250~270円台で横ばいの動きが続きます。
3月26日は株式総会が開かれ、9割が解決済みで営業は夏頃、調査の結果で施工不良の心配がないという好材料も出てきました。
再出発に向けて動く姿を見て一部の株主に期待を与えたのか、株主総会以降は少し株価が上昇しています。
ところが、再び株価が下がったのは5月14日のことでした。
TATERUは株主優待としてクオカードを配布していましたが、5月13日に優待の廃止と無配を発表しました。
参照元URL:2019 年 12 月期における配当予想の修正(無配)及び株主優待制度の廃止に関するお知らせ
クオカードは投資家に非常に人気の高い優待であり、TATERUは3,000円と気前の良い金額であったため保有していた株主は多く見られます。
また、優待利回りは取得株価が250円であれば12%となるので、リスクをとってでも優待目的で投資する人は少なくありません。
しかし、現在の収益状況と今後の業績動向を踏まえると、優待の廃止と無配の修正は避けられない決断でした。
3月末には2018年12月期に権利確定したクオカードが株主に元に配送されているため、多くの人が優待の継続を期待したことでしょう。
さらに、ちょうど第1四半期決算の発表もありました。
大幅な減収減益決算となったため、予想を超える業績悪化と捉える株主は少なくなかったようです。
同時に優待廃止と無配の悪材料が出たことで、14日は終値208円の株価に落ち込みました。
その後も低値で動きますが、5月27日に再び急騰して230円~250円台を取り戻します。
損切りしようと思ったら、251おいしい。
平均193高みの見物
明日は300行くかな
引用元:https://finance.yahoo.co.jp/cm/message/1835618/2cbf9cbe41201ab89304ab3e7bf1a720/111/1157
14日以降の下落は損切りの判断が問われるラインですが、急に上がったことで上昇に期待が高まる株主も見られました。
株主の間で上昇を期待する声で盛り上がるものの、再び暴落するのは6月18日のことです。
同日に国土交通省が業務停止命令を出す方針を固めたという内容で、新聞がいち早く情報を流しました。
参照元URL:アパート施工のTATERU、業務停止命令へ 国交省、融資資料改ざん問題で
それがネットでも流れてしまい、売りが進んだ様子です。
株価は少しずつ下がり、6月26日には終値165円の安値となりました。
前日にはTRASTA社売却による特別損失の発生などの情報開示もあり、それも1つの売り材料になった可能性が高いです。
行政処分を告知した28日まで低値となりましたが、7月2日には終値219円に上がり緩やかに200円台で動いています。
業務停止命令の機関が1週間とは短いですね。
これは、爆上げするのではないでしょうか。
引用元:https://finance.yahoo.co.jp/cm/message/1835618/2cbf9cbe41201ab89304ab3e7bf1a720/118/125
業務停止処分となりましたが、わずか1週間と短い期間であったことが好材料になったと言えます。
TATERU(タテル)は関連会社の売却や早期退職制度の実施により、業務改善の動きが見られます。
今後出てくる材料次第で株価の動き方は変わってきますが、それでも上昇や復活に期待する株主は多いようです。
期待を求められている会社なので、賛否両論の声を受けつつも事業を立て直していくのではないでしょうか?