TATERU(タテル)株、今後の行方と業務停止処分の影響は?

当該記事については、アフィリエイトや企業からの取材費をいただき、物件を紹介したり分析したりしています。

預金通帳残高の改ざん問題が発覚してから、TATERU(タテル)はその状況を真摯に受け止め、再発防止策に取り組んできました。

しかし、信頼回復への道のりは険しく、2019年6月28日に国土交通省関東地方整備局より業務停止処分が下されてしまったのです。

業務停止処分が下された期間は1週間で、その間は宅地建物取引業に関連する全ての業務を停止しなければなりません。

 

外部リンク:宅地建物取引業法に基づく行政処分に関するお知らせ

 

TATERU(タテル)は宅地建物取引業に関係する事業以外も展開していますが、会社全体の売上や株価にも大きな影響が出て、経営そのものが厳しくなるのではないかと心配する声が挙がっています。

そこで今回は、業務停止処分を受けてTATERU(タテル)の売上や株価へのダメージはどれ程のものなのか、検証していきましょう。

 

 

業務停止処分による売上へのダメージはどの程度なのか?

6月28日に発表された業務停止処分を受けて、TATERU(タテル)の売上にはどれくらいの影響が出るのでしょうか?

まずは、改ざん問題が発覚してから、業務停止処分が下されるまでを時系列で振り返ってみましょう。

 

改ざん問題発覚から業務停止処分まで

 

TATERU(タテル)が業務停止処分を受けることになったのは、預金通帳残高の改ざん問題が発端となっています。

ここでは、改ざん問題発覚から業務停止処分までを時系列で振り返ってみましょう。

 

・2018年8月31日:改ざん問題発覚

2018年4月、TATERU(タテル)は都内在住の男性に少ない自己資金でも運用できるとしてアパートを紹介しました。

しかし、本来であれば融資が厳しい状況にあるにも関わらず、金融機関の融資を有利にするために預金データを改ざんしたのです。

不審に思った男性が金融機関にデータの開示を求めたことで、2018年8月末に改ざん問題が発覚しました。

外部リンク:アパート融資資料改ざん、TATERUでも

 

・第三者委員会による調査開始

改ざん問題発覚を受けて、弁護士と外部取締役などで構成された第三者委員会が設置されました。

過去にも改ざん問題がなかったか事実確認が開始され、30名以上の従業員が改ざん問題に関わっていたことがわかっています。

外部リンク:特別調査委員会からの調査結果報告書(要約版)受領および今後の対応に関するお知らせ

 

・再発防止策発表

TATERU(タテル)は業務フロー変更をはじめ、契約適合性手続き厳格化を含むいくつもの再発防止策を発表しました。

また、改ざん問題に関わった関係者の厳正な処分を下し、役員の月額報酬減額も発表されています。

外部リンク:当社従業員による不適切行為に対する再発防止策に関するお知らせ

外部リンク:役員報酬の減額及び取締役の辞任に関するお知らせ

 

・業務停止命令の方針発表

国土交通省は、TATERU(タテル)の改ざん問題が許されるべきではないこと、融資に関わる不正問題が相次いでいることなどを踏まえ、業務停止命令処分を下す方針を明らかにしました。

外部リンク:TATERUに業務停止命令へ 融資資料改ざんで国交省

 

・国土交通省による聴聞

国土交通省関東地方整備局による聴聞が行われました。

聴聞では、TATERU(タテル)の代理人弁護士が、類似の不正問題と比較しても業務停止命令処分が厳しすぎる処分だと陳述しています。

特に、損失になったのは売却用の不動産だけであり、オーナーに影響がないこと・社会的な損失を生んでいないことなどに触れ、適当な処分ではないと述べていました。

外部リンク:TATERU、業務停止に反論 融資書類改ざんの処分巡り

 

・業務停止命令処分発表

業務停止命令処分が正式に決定し、2019年7月12日から18日までの7日間を業務停止期間としました。

国土交通省は、融資における不正発覚が全国に広がりつつある現状と、組織ぐるみの改ざん問題を軽視してはならないと考えたのです。

業務停止期間は、宅地建物取引業に関わる全ての業務を停止することになっています。

ただ、TATERU(タテル)が担っている全ての業務を停止するわけではないため、賃貸管理業務などの宅地建物取引業に関係のない業務については業務停止処分期間内も通常通り業務に取り掛かれます。

 

TATERU(タテル)は、業務停止命令処分を受けてすぐに公式で関係者各位に対して「行政処分のお知らせ」を通達しています。

改ざん問題を真摯に受け止め、独自の再発防止策にも取り組んできたTATERU(タテル)は、今後も役職員のコンプライアンス意識や信頼回復に向けて努力することを明らかにしました。

外部リンク:宅地建物取引業法に基づく行政処分に関するお知らせ

 

被害損失はあっても影響は低い

 

業務停止処分における被害損失は、具体的にどれくらいの額になるのでしょうか?

 

 

受注棟数がピークだったのは、TATERU(タテル)の業績が好調だった2018年度12月期2Qで成約数は255件でした。

改ざん問題が発覚し、2018年度12月期4Qには成約数が35件と大きく減少しています。

 

仮に1Qのそれぞれの期間を3ヶ月間・12週として考えた場合、7日間(1週間)の受注棟数を割って計算すると、ピーク時の2018年度12月期2Qは約21件、2018年度12月期4Qは約3件になります。

賃貸アパート1棟を仮に1億円とした場合、被害損失にはどれ程の違いが出るのでしょうか?

1棟当たりの価格(1億円とした場合)×7日間の受注件数=被害損失で計算すると、以下のようになります。

 

【2018年度12月期2Q】

・受注棟数255件

・7日間約21件

・1億円×21=21億円

 

【2018年度12月期4Q】

・受注棟数35件

・7日間約3件

・1億円×3=3億円

 

2018年度12月期2Qの時点で7日間の業務停止処分が下されていた場合、1週間の被害損失は約21億円だということになります。

これに対して、2018年12月期4Qの被害損失は約3億円となり、受注棟数が少ないため、損失の影響がかなり低いことが分かります。

改ざん問題発覚後も受注棟数がピーク時のように推移していたならば、被害損失は会社全体の売上にも影響を及ぼしていたでしょう。

しかし、改ざん問題発覚後、TATERU(タテル)では宅地建物取引業に関わるアパートメント事業の新規営業を自粛し停止していました。真摯にオーナー対応を優先させていたことが、今回の業務停止処分の影響範囲を小さくする要因となったことでしょう。

 

 

株価へのダメージはどの程度なのか?

ここからは過去の株価と比較しながら、業務停止処分が株価に与えるダメージについて考えてみました。

 

TATERU(タテル)の株価比較

 

・売上、利益ピーク時

過去に売上高が最も高かった時期は、2018年第4四半期を除くと2017年第4四半期(約246億円)です。

2017年10~12月の株価は、高値だと1,500円前後で取引されていました。その後は2,500円前後まで株価は上昇をし続け、まさに急成長中の企業でした。

 

・不祥事発覚

預金データ改ざん問題が日本経済新聞で報道された8月31日の高値は1622円でした。

その日の安値は1,572円で、終値も1,606円であったためそれほど大きな値動きは見られていません。

9月3日時点で1,206円と急落し、それ以降株価は下がっていきました。

 

・再発防止策の発表

再発防止策発表が好材料となったのか、次の週の始まりとなる18日の高値は443円、安値は403円と大幅に上昇していました。

その後もジワジワと上がり、9月の後半から10月の始めまでは700~800円台で推移します。

 

・第三者委員会の調査報告公開

第三者委員会の調査報告が開示された12月27日の株価は高値383円、安値312円です。

同時に取締役の辞任や役員報酬の減額など対応について報告がありましたが、まだまだ悪材料が出るのではと懸念する投資家は多かったのでしょう。

横ばいの推移は2019年に突入しても続きますが、2月を突入してから安値が200円台となり7日以降から高値も200円台に下がってしまいました。

同業他社でも施工不良問題が話題となり、不動産業界全体が落ち込んだ背景も株価に影響を与えたと考えられます。

 

・関連子会社売却の発表

3月29日に関連子会社の売却が発表され、この時点の高値は277円、安値が264円となりました。

26日には株主総会が開かれ、解決の見通しや施工不良の心配がないことを株主に伝えています。

しかし、それだけでは好材料とはならず、緩やかに上下しながら横ばいが続きます。

なお、関連子会社の売却が合意解除を6月25日に発表しています。TATERU(タテル)は別の関連会社の持株売却で財務基盤を強化すると発表しています。

 

・不動産売却の発表

在庫として抱えていた土地に物件を建て、それを全て売却する契約が締結しています。

発表時点の株価は高値276円、安値は262円となっており、これ以降も200円台での推移が続きます。

5月13日に株式優待の廃止と無配が発表され、それが悪材料となって翌14日は初値と安値が180円、高値は209円と落ち込みます。

 

業務停止処分を受けての株価変動

TATERU(タテル)の業務停止処分は6月18日の時点で方針が決まっており、新聞や各メディアでも報道されていました。

200円台を維持していた株価は19日になると高値196円、安値188円とさらに落ち込んでしまいます。

100円台はTATERU(タテル)が業務停止処分についてIRニュースに開示する28日まで続きました。

株主としては非常に今後が気になる処分ですが、業務停止となる期間がわずか7日であり比較的軽い処分と言えます。

 

業務停止は比較的少ないが、そんなに珍しいものでもない。7日くらいただの夏休み消化に過ぎない。

暫くは大口の仕事は減るだろうが、元々タテルは非効率で旧態依然の不動産業界にあって、ネットやクラウドファンディングを取り入れて効率化と低コスト化、スピード化を実現した革新業態なのだから、その優位性を活かした地道な営業活動に戻れたら大化けするのは必然と言えるでしょう。

引用元:https://finance.yahoo.co.jp/cm/message/1835618/2cbf9cbe41201ab89304ab3e7bf1a720/118/4

 

こちらは6月29日の投稿ですが、営業を再開したら大化けするのではと、復活に期待する声も少なくありません。処分は経営に与える影響が少ないと受け止めた人が多いのか、発表後の7月1日の高値は215円に回復しました。

それ以降、株価は190~200円台で緩やかに上下していて、大きな変動は起きていません。

 

 

マネーゲーム化しているTATERU(タテル)株。本質はどこにあるのか?

TATERU(タテル)株は非常に不安定な動きが続いており、一部投資家によりマネーゲーム化しています。

本質はどこにあるのか、再起に必要なことを考察してみました。

 

マネーゲーム化しているTATERU(タテル)株

 

2019年5月27日、TATERU(タテル)株は一時期、急伸しました。

始値219円でスタートし、お昼までに281円まで上がりました。

外部リンク:<東証>TATERUが30%高 「問題企業」でマネーゲーム レオパレス連想

 

TATERU(タテル)は、大きく売り込まれた企業として自律的な反発を狙う投資家がマネーゲーム感覚で集まっているそうです。

本質を取り戻すためには、少しずつ課題をクリアしていく必要があると言えます。

 

TATERU(タテル)が再起に必要なこと

早期退職優遇制度、リストラがどこまで進むか

早期退職優遇制度の募集人数は160名となっているので、最大160人がリストラされる可能性があるでしょう。

有価証券報告書によれば平成30年12月時点の従業員数は505人なので、定員数を満たせば約3割の人数に縮小していくと思われます。

外部リンク:有価証券報告書-第13期(平成30年1月1日-平成30年12月31日)

 

どこまで経費削減を進められるか

有価証券報告書では平均年間給与が約719万円となっています。

最大160人分の年収が削減されるので、単純に計算すると約11億5,040万円分の人件費がカットされるでしょう。

早期退職優遇制度では特別退職金も支給されるため、完全に11億円分の人件費がカットされるわけではありませんが、今後会社が軌道に乗るまでは少しでも経費を削っておかなくてはなりません。

いくらアパートメント事業以外の事業も展開されているからと言っても、油断はできない状況です。

他にも業務の仕分けや顧客の選別、業務のマニュアル化などで経費削減が続く可能性も考えられます。

 

当面のキャッシュは確保できるのか

現時点では販売用不動産の売却と関連会社の持株売却で財務強化を図っていく方針です。

販売用不動産の売却額は公表されていませんが、平成30年12月期の連結売上高10%なので、あくまでも予想ですが約80億円以上と推定されます。

また、関連会社(株式会社TRASTA)の持株3,283株(43.3%)を4億円で譲渡されることも決まっています。

外部リンク:TATERU、122棟の販売用不動産売却

外部リンク:株式会社TATERUとの資本関係の解消について

 

銀行の融資先を見つけられるのか

新規営業を再開する上で、顧客に融資してくれる銀行を見つけることも課題と言えます。

改ざん問題で取り上げられた西京銀行は、東京と大阪でのアパートローンの新規申し込みを停止しています。

営業が再開していない現時点で、どこの銀行が融資してくれるかはっきりしていません。

銀行の融資先を見つけるためには、やはり一刻も早く信頼を取り戻していくことが大切です。

信頼を取り戻すためには地道な努力が必要になってくるでしょう。

TATERU(タテル)の場合、関係者への処分はもちろん、会社の構造部分から変えていくために再発防止に取り組んでいます。

この努力が実を結び、信頼を得られるようになれば、自ずと銀行の融資先も見つけられることでしょう。

新規営業の再開で受注棟数を増やせるのか

受注棟数を増やせるかどうかは、今後の営業方針が重要でしょう。

改ざんの要因は厳しいノルマという話もあるので、まずはノルマの見直しが必要だと思います。

融資を問題なく通る顧客を選別し、アパート経営に興味を持ってもらえる営業を心掛けることが重要でしょう。

また、オーナーや住む人に付加価値を与えられるアパート開発にも力を入れることも重要だと言えます。

すぐに増やすことは難しいと思いますが、地道な営業活動と新しいアパートの開発を重ねれば、受注棟数も増えて元の売上に戻る可能性は十分に考えられるでしょう。

 

 

少しずつですが、TATERU(タテル)は再開に向けて前進していると言えます。

事業の立て直しが進めば、マネーゲーム化している株も本質を取り戻し安定すると期待できるでしょう。

 

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